どれもこれも世界唯一!?超ユニークな学級&部活
ー 2021年5月6日、オンラインのラーニングコミュニティ「◯学園」が、ついに開学1周年を迎えました!とっても密度の濃い1年間だったと思いますが、今のお気持ちは?
それぞれの学級で活発な学び合いが行われていて、本当に嬉しいです。関係者の皆さまに、改めて御礼もうしあげます。私自身も、共に「レッツ・エンジョイ・学び」の毎日です。
ー ラインナップは全14学級!どの学級も本当にユニークです。
いま開講中の学級は『Happy English!』『英語×NEWS』『英語×カラオケ』『イケてる英会話』『論語で親しむ中国語』『中国語自主練』『ミーハーOK!韓国語』『ビールで乾杯!ドイツ語』『歌って踊るスペイン語』『レッツにほんご』『ゼロビギナーの日本語』『Japanese free lounge』『物語のアトリエ』『免疫力UPエクササイズ feat.48手ヨガ&春画ヨガ』『世界の音楽エクササイズ』です。まだまだ、新しい学級立ち上げの構想もあります。今月には『百人一首』の学級も立ち上がります。乞うご期待!
ー◯学園の可能性の大きさを感じますね。振り返ると、楽しいイベントも沢山ありました。
夏フェスや全校集会での作文コンクール、年末大感謝祭でベートーヴェンの第九合唱発表会、春の全校集会で写真コンクールや俳句大会。そして、折々に開催してきた「こころかるた」イベント...。どのイベントもびっくりするほど白熱して、皆さんの個性が輝いていて最高でした!
ー 最近、新しいサービスも始まったとか?
そうなんです。ランゲージ・エクスチェンジのマッチングサービスを完全無料で始めました。ある言語を学びたい人と、その言語が得意な人を紹介します。そして双方にとって都合のよい時間ややり方を調整して行います。(体験談リンク)
例えば、最初の15分は英語で話して、そして次の15分は日本語で話す、、など、使う言語をチェンジします。15分で物足りない場合は、30分でチェンジしてももちろんいいです。それぞれが楽しく学べるように、ランゲージ・エクスチェンジのガイドブックも作りました。
ー 世界各地から学習者が集う◯学園ならではのサービスですね!ちなみに、これまでに、どんな国から参加者が集まりましたか?
フィンランド、ドイツ、シンガポール、ウズベキスタン、キルギス、ニュージーランド、中国、ベトナム、フィリピン、トルコ、ブラジル、メキシコ、オーストリア、アメリカ、リトアニア、インドネシア、チェコ、インド、タイ...などなど。中には、日本での留学の期間を終えて帰国した後、日本語を使う機会が減ってしまった元留学生や、これから日本に留学に来る人もいらっしゃいます。
ー 留学後も学び続ける場になっているんですね。
それがzoomを介すれば可能になる、とはすごい時代になりました。また、独学で勉強している人が、「ことばは人間と使うものだから、コミュニティの中でことばを学びたい」と言って独学で日本語を学んできた人が参加してくる人も最近増えました。
初めて日本語を話すのが◯学園の日本語のクラスという人もいて、一人の学びの人生に関わっている、と身が引き締まる思いです。そのような機会を提供することができて、とても嬉しく思っています。
ー すばらしい。学校に限定されず日本語をずっと学び続ける場の提供というのは、社会的な意義も大きいと思います。
社会的意義という意味で、学び=つらいもの、やらなきゃいけないもの、つまらないもの、自分の住んでいる世界とは違うもの...と考えてしまっている人たちをエンカレッジしていきたいという想いもあります。
勉強が楽しかったという経験がないために、学びをあきらめてしまうなんてもったいない。
私もかつては、勉強が楽しいとはまったく思えず、卑屈になって敵視していた時期がありましたが、いま思えば、画一化をめざす殖産興業的な教育システムへの抵抗感だったんです。
ー その点、◯学園はまったく真逆ですね。学んでいる人たちが、とにかく能動的で。
ドイツ語、中国語、日本語、英語の各学級は、通常の学級とは別に、自主練も毎週しています。最初はドイツ語のクラスで始まり、その噂が広まって他の学級でも行われるようになりました。参加者同士の仲がいいから、そのような発想が生まれたのだとも思います。
これって、学びの究極の理想の姿だと思うんです。自律した学習者を育てるということが人為的な行為である教育のひとつの目標だと思うのですが、◯学園で自主練が流行っているのは、ある意味それがうまくいっているからなのかもしれない、とも思うわけです。
進学や就職を目的とした学びではなくて、自分の内なる多様性を広げていくための学びだから、無限に楽しめちゃうんですよね。学級以外にも楽しそうな放課後アクティビティ(部活)が次々と生まれていて、多種多様な学びの刺激をもらえます。
一つ以上の学級に所属していれば、放課後アクティビティは無料で参加し放題です。今あるのは筋トレ部、映画部、写真部、茶道部、和綴じ部、カート部、マンガ部、ゲーム部、ダンス部......。「こういうの作ってみたいな」というリクエストがあれば、いつでもwelcomeです!学園全体でのdiscordやfacebookのグループページも作っていて、別々の学級に所属している人同士が気軽に交流できるようにもしています。
ドイツ語の自主練(「独自練」と称してます)に端を発し、zoomによる第九合唱プロジェクトが立ちあがった
ー 学級は違うけど部活ではすっかり顔なじみ...みたいな、タテヨコのつながりも増えつつありますね。
「放課後アクティビティ」は、まさに重層化コミュニティの好例だと思っています。人間は本来いろいろな顔を持っている。一つのコミュニティにどっぷり浸からず、複数のコミュニティと柔軟につながっていたほうが楽しいし、新たな出会いも生まれるし、また、リスク分散にもなりますよね。◯学園で、自分が自分らしく居られる居場所をつくってもらえたら嬉しいです。
セレンディピティな対話から生まれた◯学園
ー ◯学園には、単純に「楽しい」という言葉だけでは表現しきれない奥深さを感じます。そもそも論になりますけど、◯学園の構想って、いつごろ生まれたんですか?
個人的には、10年くらい前から「こういうのやってみたい!」と思っていました。大学院で遠隔教育について学ぶ機会があったんです。私は20年くらい前のインターネット黎明期から、ちょっとしたおしゃべりとか、しりとりとか、ワイワイできる掲示板やコミュニティをいくつか運営していたので、遠隔教育としても、そのようなオンラインコミュニティの可能性ってあるだろうなと、漠然と思っていたんです。
ー それが、かつさん・まなみさんと出会って具現化したんですね!
そうそう。かつさんとは元同僚で、Facebookでゆるくつながっていたんです。ある日、かつさんが運営しているオンライン対話の会に誘ってもらって。それが本当に面白かった!
たしか、「最近楽しかったこと」みたいなテーマだったと思うんですけど、価値観とか思考とか、自分の心の奥深くにあることを話すことで、対話相手が自分の思考プロセスの同伴者になっているような感覚が得られたというか...。
ー 「思考プロセスの同伴者」って、素敵ですね。
かつさんとは、以前から面識はあったんですけど、対話の会で、やっと仲良くなれたんです(笑)。
ー 仲良くなって話す中で、お互いに以前から思い描いていたアイデアが一致した、と。
そう。最初に◯学園(旧zoom学園)の構想をかつさんから聞いたのが2020年2月ごろ。
それで、3月14日に「レッツにほんご」のパイロットを開催しました。
ー着想からローンチまでの速さも、「◯学園あるある」ですね(笑)。
まずは試しにやってみる。その都度ミーティングでふり返って、改良を重ねていく。そんなサイクルですね。
ー ファシリテーターも、回を重ねながら進化していく。最初から完ぺきをめざして、準備に準備を重ねるよりも、「その場から何を学ぶか」が大切ですね。
その通り。◯学園では、学級担当を「先生」ではなく「ファシリテーター」と呼びます。ファシリテーターは、対話の燃料投下役です。一方的に知識を提供するインプット役ではありません。
◯学園=世界中に友だちをつくるための学び場
ー ファシリテーターと学習者がフラットな関係だからこそ「学び合う・教え合う」という空気が生まれるのかもしれませんね。
自分から主体的に知を獲得していかないと、永遠に自分のものにはなりません。語学はその最たる例です。いくら単語をインプットしても使えるようにはならない。ことばは人間関係の中で獲得し、人間関係の中でその生命が輝くものだからです。
ー 人と人とが同心円で学び合い教え合う。片側からの一方通行ではなく、サステナブルに循環していく...。「◯(マル)」にこめられた深い意義を感じます。
◯学園が目指しているのは、世界中の人々との対話による人間関係醸成と、それを通した自己変容の学びです。相手を理解しようとする姿勢や、自分を表現してみようという意欲が自然と湧いてくるようなことばや文化活動。社会の多様化が進む中で自分らしさを見失わないためには、いろいろな言語・文化・価値観などに触れて、自分を相対化することがとても大切だと思います。そうすることによって自分自身が更新されていき、人生がよりピカピカすることを目指しています。
ー 気の合う友だちがいるコミュニティであれば、いくらでもワクワクできちゃいますね!
本来、人間には自ら学ぶ力が備わっています。環境を整えて、そこにほんの少しの素材を投入すれば、仲間との相互作用で自ずと学びは始まります。その時に、「あーでもない」「こーでもない」と仲間と試行錯誤しながら話し合う過程でいろいろなことに気が付きます。このプロセスでは、自分が学ぶ内容を意識化することができ、他の誰でもなく自分自らが自己を決定していきます。
このように、自分で自分自身を教育できる自律した人間を育てるのが教育の役割ではないかと思うのです。一人一人の居場所であるだけでなく、そのような場所にしたい。
◯学園は純粋に「好きだから学びたい」「好きだから教えたい」という人たちに門戸を開きたい。現代の技術で世界中の学びたい人を繋げられるのなら、是非ともそれを享受し、学びたい人を支援したいと思います。ただ、世界には経済格差もあるのも事実です。どうすれば持続可能な形で学びを継続できるか、ということもずっと考えています。
ー 確かに、お金の有無で「学ぶか・学ばないか」を決めるなんて、もったいない話です。
じつは最近、「◯学園 奨学金制度」も立ち上がりました。「好きだから教えたい」という気持ちを失いたくないからと、無償での学級運営を希望するファシリテーターさんがいたんですね。その想いに心打たれる一方で、私は「100円でもいいから身銭を切って学ぶことは重要」と恩師から教わってきたので、学習者があまりにも無料慣れしてしまうのは良くないとも考えているんです。その学級の参加者からも、「好きで学んでいるのだから、ぜひお金を払いたい」という声が寄せられていました。
どのようにしたら良いか考え抜いたあげく、参加者さんから「寄付」という名目で参加費を集め、経済的な理由から学びにアクセスできない人たちが◯学園で学ぶための「奨学金」として積み立てていくことにしました。
ー すばらしいアイデアですね!
具体的な選考過程は検討中ですが、レポートを提出してもらうなど、学ぶ意欲はしっかりと審査するしくみにしたいと思っています。
ー 今回はじっくりとお話を伺ってきましたが、「学び」に対するなりさんのパッションの大きさに驚嘆しました!
ミッション・パッション・アクション。次の1年も「レッツ・エンジョイ・学び」でいきます!関係者のみなさま、どうぞよろしくお願いします。
(インタビュアー/安藤陽子)
marugakuen: 公式Instagram
Kommentare